NPOボランティア体験プログラム

2001年に実施された、サンフランシスコNPOボランティア体験プログラム参加者の感想です。プログラム実施中、参加者の方々に毎週提出していただいた「体験ジャーナル」より参加者一部の声を以下にご紹介いたします。

◆第1週目

伊藤英恵さん
 今週はあっという間に過ぎてしまったけれども、とても充実していた。二日目から早速バークレイのウォーキングツアーがあり、ボランティア団体が街のいたることころにあることに改めて感心させられた。特に大学の中にあった集中力が欠けている生徒のためのセンターがあるのには驚いた。というのは、日本の大学にはまだこのようなセンターはないと思うからだ。来週からは本格的にセミナーやボランティアが始まる。いろいろな貴重な体験ができそうだ。
 日曜日には日帰りでモントレー・カーメルのツアーに参加した。日帰りということなので時間が足りず、見たりないところもあったが、日本とは異なった海岸の保護の仕方に感心したり、ドライバーの説明や話などが興味深くとても楽しむことができた。来週の土日にもぜひまたツアーに参加したいと思う。

(ウォーキングツアー:People's Parkにて)


◆第2週目

松藤恵理香さん
 プログラムも一週間が過ぎ、今週は実際にボランティアも体験。"Tibetan Aid Project"でのボランティアは、工場で"Prayer book"の製本作業という一見単純な仕事だったけれども、なかなか楽しかった。こちらも様々新しいことを学び体験することができ、相手にも喜んでもらえるという点がボランティアの醍醐味ではないだろうか。日本でも自然な形でのボランティア精神が家族や地域社会、又学校や職場で復活していけば、もっと住みやすい国になると思う。生活面 では参加者のみなさんとも大分親しくなり、またお昼の外食が楽しみで、これまでに8ヶ国の料理を味わった。YMCAでは夜に色んな国の人たちとfree talkをしたりと、英語を使える場がもてて楽しい。今日(3/15)は中国人の男性と話したが、隣国なのにお互いの国のことは結構知らないことに改めて気付かされ、これからもっといろんな人と触れ合って、世界を広げていきたいと思う。

(Berkeley駅前の露店で手作りアクセサリーをみる参加者)


渡部久美さん
 セミナーは私にとって大変有意義なものだった。熱中して受講している自分を発見し改めて自分がどういうことに興味を持っているのかが分かった。このことは本当にすばらしいことで、これだけでもここに来た甲斐があった。ベイエリア・ウィルダネス・トレーニングを訪問した時は、屋外でチームワーク強化のゲームなどをした。私がニュージーランドの高校にいた時もしたことのあるゲームもいくつかあったので、きっとニュージーランドの先生もこのようなリーダーシップ養成プログラムをどこかで受けたのだろうと思った。
 チベット援助プロジェクトでは、チベットでの祭典に送られる経典作りを手伝った。ベルがなったらみんな一斉にランチをとって、なんか昔ながらの工場で和気あいあい働いている感じで楽しかった。私達の作っている経典が実際に捧げられているビデオをみせてもらって、ここアメリカでボランティアの人が作った本が大事にされているんだと実感してうれしくなった。
(Bay Area Wildness Trainingのワークセッションで「人間の鎖」に挑戦)


上村祐加さん

 今週は本格的なレクチャー活動が始まった。NPOについての知識が皆無に近い私にとって新鮮な一週間だった。色んな国の料理を食べたり、スーパーで色んな食材を見て周るのも楽しかった。中国人の人とdeepな話をしたことや某日本人の意外な発言もあって、人の思想、考え方の多様性に興味を持てた。Tibetan Aid Projectでは経典となる大切な書籍を扱った。私達のしたことが世界のどこかで見知らぬ 人に役立っているんだと思うとなにか嬉しくなった。
(ウォーキングツアー:スワンズマーケットにて)

山口 慶子さん

(フィールドトリップ:Golden Gate Bridgeまでサイクリング)
 今週のプログラムの中で、私が一番興味を持ったのは、16日のディスカッションでゲストスピーカーとして来た風砂子・ディアンジェルスさんの話でした。今日の若者と違い、学びたいから、とか経験したいからなどという理由とは少し違う、社会的な流れの中で海外の生活をスタートさせたこと、又、受け入れ先があるのではなく、自分の手を使って明日を切り開いていくといった感じがとても心に残りました。
 彼女は「今、日本人が当たり前に過ごしているこの何でもすぐ手に入る世界は、実は犠牲を強いられている人々の上に成り立っているんだ。そういった事を分かった上で私達は生活しないといけないし、又、NPOの活動はその恩恵に対し、少しでもお返しすることに役立っている」と言っていました。私はこういった活動に関心を持てて本当によかったと思うし、このようにすばらしい人達に出会えて、私も頑張ろう!!と思いました。
 週末のヨセミテや22日のフィールドトリップは天気にも恵まれて最高でした。空が青いし、海も青くてきれいだし、自然がいっぱいの中ですごくリラックスしました。自転車では足の届くのがあるのかな…って少し心配だったけど、それも問題なしで、サイクリングを楽しみました。


土屋 伸さん
 月曜日はウォーキングツアーでジャパンタウンを訪れた。面白かったのはエスコートの希和子さんが言った、「ここに居る人達は、日本人より日本人ぽいところがある」ということだった。過去に日本から渡って来た人達なので、その過去の日本の部分を残しているそうだ。アメリカに来て逆に日本らしさを見せられるなんて面 白かった。
 火曜日はGlobal Exchangeを訪問した。彼らの活動の一つに、発展途上国と先進国における経済活動の不正を改善する、というのがあった。その説明の時に説明者は"Justice"という単語を使っていた。現在の多様な価値観が存在する世の中ではっきりと"正義"という言葉を使うことができるなんて凄いなと思った。彼らは自分達がやっている活動・仕事に対して、自信と誇りを持っていた。これは翌日に訪れたFood Bankの職員にも言えることだった。
 自分も将来は自分のやっていることに関して自信を持って人に話せるような仕事に就きたいと思った。

(Global Exchangeのデボラさんと記念撮影)


◆第3週目

山口 慶子さん
 今回このプログラムに参加することで、私は、私自身をもう一度客観的に見て見たかったのかもしれない。もちろんボランティア、NPO等にもすごく関心はあったけど、少し立ち止まって、私が本当に進みたい道は何?って自分に聞いてみたかった。でもこの旅はそれ以上に自分が何に関心を持ち、自分がどういったタイプで、どんな場所が心地よいのか気付かせてくれた。これからも私はNPO、NGO、ボランティア等の活動にたずさわっていきたい。まだその道はクリアではないけど、手探りでいろいろな活動に参加して、自分に合った活動を見つけていきたいと思う。とりあえず、日本に帰ったら、ハングリー精神でいろいろなNGO、NPO団体を訪ねてみようと思う。今までのやり方でうまくいかなくても、違った方法で自分をアピールしていこうと思った。又、はじめからスタッフとしてではなくとも、インターンやボランティアとしてでも、関心を持ってやっていれば、もしかしたらいい道が開けるかもしれないし。まだまだ当分手探りの状況が続くと思うけどあきらめずに頑張ります。

(Food Bankで食品仕分けのボランティア)


渡部久美さん
 あっという間の3週間だった。(今思うと…)でも一日一日の内容は濃く、大変充実していた。毎日毎日、何かを感じ、考えさせられた。日曜日はゴスペルに行き、アメリカの明るく、すてきなところが見れた。その後ゴールデンゲートパークに行き、そこでもすばらしい自然と、人々に出会うことができた。今日はホームレスの人々へ食事を配給するボランティアをした。私はこの3週間で、ただ観光に来ただけでは知り得なかったことが知れて本当に良かった。観光に来ただけだったらホームレスの人がいた、という感想で終わっていたかもしれない。この3週間本当にすばらしかった。私の初のアメリカがここバークレイでNPOの盛んなサンフランシスコでよかった。

(Berkeley Emergency Food&Housing Projectで食事ボランティアに挑戦)

 

◆第1週目 


富 岡 亮さん


 アメリカ・サンフランシスコに滞在し一週間、非常に有意義に生活することができた。アメリカ社会の中でのボランティアが、誰の目にも当たり前の現実として映っていることに正直驚きを覚えた。インターネットをする関係で3回ほど利用したOakland Public Libraryや、日曜日に見学したサンフランシスコ近代美術館のボランティアは、職員と何ら変わることなく熱心に仕事を行っていた。ボランティア体験は短時間ではあったが、私の人生の1ページを鮮やかで確かな出来事とした。特に印刷、出版分野に関心のある私にとって、ダーマ出版社でのボランティアは貴重であった。魂のこもった本が作られている現場に感動した。
 そして今週の最大の成果は、日本を離れたことで日本の良さが身に染みて分かったということである。柏木さんがセミナーでおっしゃっていた「インフォーマルボランティア」は私の家の近所では日常的に行われていることなのだ。そしてそこは私の帰るべきコミュニティなのであり、そこに住む家族や友人は自分を必要としてくれ、自分もまた彼らを本当に必要としているのだ。非常に当たり前のことなのだが、アメリカに身を置くことで初めて実感したことなのである。

(写真1.NPO「Tibetan Aid Project」にて)

 


岩井 千恵さん 

9月3日、生まれて初めてのボランティア体験、Tibetan Aid Projectでは、大変貴重な事が出来た。またボランティアに対して、行うことの意味や、自分にとってのボランティア精神の確認、また、ボランティアを行うことでの自分が背負うリスクなども肌で感じることができたと思う。9月4日では、柏木さんの大変ためになるセミナーを受講できて、自分の勉強不足や、また新たに興味の出てきた分野などがあった。自分のこれからのために、視野を広げることができた。例えばそれは「中間組織」と呼ばれているもので、日本でのボランティアの需要がこれから増えていく中で、それは必要とされてくることだと思ったからです。そして5日、Food Bankなども通して、先進国であるアメリカで、どうして低所得者が多くでてしまうのかという基本的な問題にも興味がわき、アメリカの社会構造が気になってきた。また、6日のBerkeleyでは、NPOというものが、地域住民の親しみやすいシステムになっており、驚いた。

(写真2.Oakland市内をウォーキングツアー)




梅澤 けい子さん

 "NPOに関しての知識は「ない」に等しい"という状態でここまで来て、初めは内心、かなりの不安でいっぱいであったが、実際に31日からメンバーが集合し、彼らと共に活動してみると、その不安も自然と、積極的に活動するための原動力へと変わった。この一週間では、月曜日にインドに送るための仏教本の制作をお手伝いさせていただいた。ボランティア活動に関しては、水曜日に伺ったFood Bankもそうであるが、右も左も分からない私たちに(特に私は英語が得意でないので)そこで活動されている方々は、丁寧に、作業内容を教えて下さったり、団体についての説明をしてくださり、とても嬉しく思った。また、ウォーキングツアーでは、オークランドとバークレイを見てまわった。どちらも、初めて知るもの、見るものというものばかりで驚いた。これからは、これらの吸収したものが、「体験した」だけに留まることのないように、さらに自分なりに学んだことを深めていきたいと思う。

(写真3.NPO「Food Bank」にて)

 


太田 龍樹さん 

アメリカに着いてからの1週間は、とても短いものだった。毎日の体験の一つ一つが大変興味深く、一日が終わるのもあっという間であった。今日、いろいろな場所に行き、また、ボランティアに参加して一番印象に残っていることは、たいへん多くの人々がボランティア(特に今日はフォーマルなボランティアについて)に対して関心を持って活動しているということであった。私は、日本のボランティア活動にそう頻繁に参加しているわけではないので断言はできないが、ボランティアに参加している人の意識は(多少は劣っている人もいるかもしれないが)あまり、差は無いと思った。しかし、アメリカと日本とでは、ボランティアに関心を持っている人、そしてそれに参加している人の人数に、歴然とした差があったように思えた。来週も、いくつかの団体のボランティアに参加するが、それを通して、なぜ、そうなのかということを感じたいと思う。

(写真4.NPO「Food Bank」にて)



◆第2週目


岩満 賢次さん

今週は、オークランド、バークレイという2つの町の全体像をみることができた。バークレイでは、大学やCILを中心とした障害者運動の発祥地であることの雰囲気を肌で感じることができた。オークランドにおいても、貧困と戦ってきた町の雰囲気が伝わってきた。どちらの町にも訪れることは、NPOだけが社会貢献をしているのではないかということである。企業、政府などが一体となって問題に取り組んでいるからこそ、町全体の雰囲気が出てくるのであろう。また、障害者運動だけでなく、これだけの多文化を支えていることも注目に値する。プログラムの半分が終了しようとしているが、まだまだBay Areaでは学べる点が多いことは明らかである。自分の目で様々なものを確かめながら、後一週間、頑張っていきたい。

(写真5.CILのバプティストさんのお話を聞いて

 


島津 果奈子さん 

ボランティア活動、セミナー、ウォーキングツアーを通して、さまざまな事を感じることができた週でした。まず、ボランティア体験。本や話に聞くより、体験してみて、より明確に活動内容やMission、人々の意識の強さが伝わってきて、短い時間でしたが、私も一員となって真剣に取り組むことができました。チベット援助プログラムの方が、実際にチベットで活動して、自分が今まで取り組んできたことが価値あることと認められたり喜ばれて、感謝されたことがとても嬉しかった、と言っていましたが、実際に人々と触れあうことや、自分のした仕事を最後まで見守ることは、大切なことだなあと思いました。来週、私達も食事サービスのボランティアがあり、そのような機会もあると思うので、とても楽しみです。
 ウォーキングツアーでは、本当にあちこち身近にNPOが存在し、地域にとけこんで活動していることに驚いたとともに、そこで活動する人はもちろん、町全体からもパワーがあふれているなあと感じ、それを受けて、自分も何か新しいことを始めてみたくなりました。この町(Berkeley)からさまざまな運動が起こったのも、うなづけました。セミナーでは、今まで本でしかアメリカのNPOについては読んだことがなかったので混乱していたことや不明確だったことが整理されました。また、自分が知りたかった中間組織についても背景や、現状について理解を深められたと思います。今度機会をつくって、このような団体を訪れてみようと思います。

(写真6.NPO「ラ・ペーニャ文化センター」の壁画の前で)

 


小川 智子さん

 今週は大きなテロがあり、国中、世界中が動揺した様に思う。まずプログラムを振り返ると私にとってゲストスピーカーの話しを聞けたことはうれしいことだった。今まで心のどこかで「人といっしょにできる仕事がしたい」ということがぜいたくな望みの様ではっきりいえない自分がいた。しかしケンさん(ゲストスピーカー)が話してくれたことで、やはり私もこれからもこれを求め続けていこうという気持ちを改めてもった。エンジェルアイランドでは大自然と共に移民局などを訪問することによりここにいた人々の思いはどのようなものだったろうと想像した。"Food not Bombs"では様々な人々と出会えたことが大きな実りであった。作る人、食べにくる人、1人1人が尊重され自由で、様々なものを1人1人抱えながらもここにくることでホッとできる空間がある様に思う。
 また、今回の事件を通して今まで私が思っていた「隣の人に平和を創っていくことが平和につながる」というものと共に大きな視点で世界の動きを知ることもいかに大切かということを感じている。そしてその中にあって私は何を思い、行動するかを考えさせられている。日本にいても今様々なことが起きていると思う。教科書問題等、もっともっと目を開き生きていきたいと思った。

(写真7.JPRN理事長柏木宏のNPOセミナー)

 


山下 祐介さん 

 今週は2週目に入り体もだんだんこちらに慣れてきたところなのに、衝撃的な事件がNYでは起こっていたことで、安心感がどこ吹く風、一転して緊張感に身を引き締めることとなった1週間となりました。まず月曜はバークレー市内の菜園を訪れました、コミュニティーガーデンとNPOについての研修を受けるという内容でした。ここを訪れる人によって感じるものはさまざまだろうけれど、この菜園がそのままNPOの小さな縮図になっている。そう考え出したら、手にする雑草や土や薬草がヒントを与えてくれるようで楽しくて役に立つ学習ができたのでよかったと思います。ここで運営管理スタッフをしているというアフリカ系アメリカ人の青年に話をうかがうと、循環型社会についてのくわしい意見交換ができました。ここで出る雑草や熟れて落ちた実などは、生物による分解を経て、肥料となり、リサイクルされて再びこの菜園で使われているというのです、日本でもそういったことの走りを行っている人を知っているのですが、改めて理解を深めることとなった1日になったと感じました。
 水曜日に訪れたバークレーにある女性用シェルターでは、ホームレスの人々に細かい理由を問わず、食事を与えるプロジェクトに触れることになりました。ここではアメリカ社会の抱えるドラッグ・アルコール・家庭内暴力などの事情が複雑に絡み合って、こうした住宅・食料の緊急プロジェクトが動いていることを肌で感じ、シェルターで生活をする方達の食事作りを手伝い、また食事を共にし、言葉を交わし、時間を共有できたことで彼らに対する偏見が少しずつ変わっていったことを覚えています。週末には、石先生(ゲストスピーカー)のお話をうかがい、1週間の体験活動をNPOという枠の中にもう一度括りなおし、理論の面から整理ができたので効率がよかったです。ということで、今週も実り多い体験をさせてもらった1週間でした。

(写真8.オークランド清掃プログラムーCommunity Gardenでガーデニングー)

 


荒木 菜津恵さん

 今週は先週よりもあっという間に1週間が終わってしまった、というのが1番の印象だ。City of Oakland Public Works Agencyでのガーデニング活動では、ボランティアでハーブなどの植物を世話している方にかなり憧れました。次から次へと植物の説明をして下さり、この人は本当に植物が好きなんだろうなあ、と思いました。好きなことを、たとえお金にはならなくてもやる、という熱意はすばらしいとも思いました。私も将来、本当にやりたいことを実現できるようにしたいと強く感じました。グループ別のボランティアでは私はシェルターへ行きました。意外にごうかでおいしいmealサービスにおどろきました。名古屋市周辺などでもよくホームレスの人々を見かけます。時には撤去というニュースもききます。私にも日本で何かできることがあるのではないかと、何かやるべきではないかと思いました。
 今回のプログラムでは様々な事件もあり、時には弱気になったりもしましたが、メンバーやスタッフやその他の様々な人たちに出会うことができ、いろんな人がいて、いろんな考え方を知り、大変勉強になりました。そして何より、自分の今までの勉強不足を思い知り、日本に帰ってから、もっともっと勉強しなければいけないと感じました。自分の進む道にプライドを持って生きていく人間になりたいです。

(写真9.Angel Islandへフィールドトリップ)

 


佐藤 奈緒子さん

 今週も、ボランティア・フィールドトリップ・ウォーキングツアーと、多くのプログラムが実施された。中でも、印象に残っているのは、12日に行なわれた“Food Not Bombs!”でのボランティア体験である。実際に調理し、配給するという活動に参加して、この活動が平日毎日続けて行なわれていることに驚き、また、このようなNPOの存在を知ったことが大きな収穫であった。直接人と接し、人の喜ぶ顔を見ることが私はとても嬉しかったし、私自身も喜びを感じた。ゲストスピーカーの話にもあったように、「自分が評価される場所」かつ、自分が幸せでいられる場を、これから、考えていきたいと思った。フィールドトリップや週末に個人で参加したヨセミテ公園では、アメリカの自然を感じることができた。休日の市内観光では、街ゆく人々を見て、「本当にこの国は、多民族国家だな」と思い、その背景が多くのNPOの活動につながっているのだな、と思った。

(写真10.Angel Islandへフィールドトリップ)


◆第3週目


山田 祐子さん

 Food Not Bombsで食事作りを手伝い、その食事を公園で配ることをした。公園に着いた時にはすでに配給が始まっていたので、私達の作った食事を食べている人をあちこちで見かけた。それを見た瞬間、本当に嬉しい気持ちになった。やりがいというのを感じた。配る際、本当にたくさんの人と接触できて、多くの人を相手にする仕事というものの楽しさを知った。どう楽しいかはうまく言葉にできない。多分、やってみて初めて分かると思う。それから、ここで食事をもらいにくる人は、私が日本で想像していたホームレスのイメージとは全然雰囲気が違った。見た目も一部そうだが、何よりすごく陽気で明るい。たくさんの人が色々話しかけてきてくれた。色々な人との会話が楽しかった。Food Not Bombsでは与える、与えられる側という線がなく、皆友達のような感じだった。日本ではどこか上下関係がある。こういう優劣全くない関係でお互いが楽しめるというのがよかった。

(写真11.NPO「Food Not Bombs!」にてボランティア)

 


濱中 祥子さん

 とうとう最後の1週間も終わります。だいぶアメリカにもなれてきたし、メンバーとも仲良くなってきました。初めて1人でアメリカに来てはじめは不安もいっぱいだったけど、ツアーのメンバーをはじめ、アメリカの人やJPRNのみなさんなどにいっぱい親切にしてもらって元気になりました。私を助けてくれたみんなの気持ちこそ、NPOやボランティアの根源に流れているものだと思います。今私が感じている「支えられている」っていう安心感を忘れずに、今度は自分が人を癒してあげられるようになりたいです。今週一番印象的だったのは"Food not Bombs"での活動でした。みんな料理することをすごく楽しんでいて、全堅苦しい雰囲気がなくて、日本にもこういうNPOがあれば日本人のNPOやボランティアに対する印象も変わると思いました。

(写真12.Japantownでウォーキングツアー)

 


岩佐 晃全さん

 2週間に渡るJPRNのプログラムもいよいよ終わりを迎えようとしている。自分たちの人生をどう過ごしてゆくかという方向性を決めるのに重要な時期である20代前半の人達と参加したこのプログラムは、私に様々な刺激を与えてくれた。モチベーションは様々でも、皆、社会に対して自分が何ができるのか、何をすべきなのかを深く考えた上でNPOに対して興味をよせ、行動を起こしているという印象を、現地のNPO職員やこのプログラムの参加者を見ていて感じた。もちろんJPRNの職員の方も含めてである。
 今後の日本において、いや全世界の社会においてすら、最も必要とされているのは、そういったベクトルの思想だと私は思う。それを口で説明するのは難しいかもしれないが、より皆が暮らしやすい社会を築いてゆくために、小さくとも自分ができることをしてゆこう、というようなことだと思う私ができる小さなことも、日本に帰って具体的な行動として起こしてゆきたい。ありがとうございました。

(写真13.修了証書を手に記念撮影)

NPOボランティア体験プログラム