マイノリティとコミュニィ・ディベロプメント
日本の人権団体が視察、フォーラム開催
東京に本部を置く人権団体、反差別国際運動(IMADR)は、9月15日から24日まで、ニューヨークとカリフォルニアで、マイ
ノリティとコミュニティ・ディベロップメントに関する視察とフォーラムを実施した。オークランドにある非営利教育団体、日
本太平洋資料ネットワーク(JPRN)の協力で行われたもので、12月には、アメリカから専門家を日本に派遣し、会議などを開催
する予定だ。
IMADRの訪米団は、人権団体、行政、企業の関係者からなる総勢28名。ニューヨークでは、まちづくりを扱う行政機関や民間
団体を訪問。民間団体では、全米最初の地域開発法人であるベッドフォード・スタブサント再生法人や、1970年代の石油危機で
人口が大幅に流出したブロンクスでまちづくりに取り組んでいるバナナケリーなどの団体を視察した。
カリフォルニアでは、サンフランシスコ湾岸地域とサクラメントを訪問。リッチモンドで低所得者住宅の建設や管理、雇用訓
練などの活動を行っているルビコンや、オークランドで米軍基地の跡地利用を進めているユナイテド・インディアン・ネーショ
ンズを訪れた。また、農村におけるコミュニティ・ディベロップメントの実態を知るために、農村カリフォルニア住宅法人など
の協力で、サクラメント郊外の低所得者向け住宅などを見学。
オークランドでは、「日米のマイノリティとコミュニティ・ディベロップメントの経験交流」をテーマにしたフォーラムが開催
され、約50名が参加。JPRNの石朋次主任研究員が司会、日本側のから滋賀県甲良町役場まちづくり課の山田禎夫、部落解放同盟
中央執行委員会の西島藤彦の両氏がパネラーをつとめた。山田氏は、小さな農村の町で人権に配慮したまちづくりを進めている
状況についてビデオを交えて報告。また、西島氏は、被差別部落地域におけるまちづくりの経過と現状について語った。
アメリカ側からは、ロバート・オジルビー助教授(カリフォルニア大学バークレー校)、ヘンリー・イズミザキ(ユーリカ事務
局長)、マーブ・ブラウン弁護士(イーストベーイ法律センター)がパネラーとして参加。オジルビー助教授は、アメリカにお
けるまちづくりの歴史と現状について説明。ブラウン弁護士は、まちづくりに関わる法律について紹介した。イズミザキ氏は、
ジェントリフィケーションの問題を指摘。地域の再開発により従来居住していた低所得者が駆逐される状態のことで、まちづく
りにおける最大の問題のひとつといわれている。
プログラムをコーディネートしたJPRNの柏木宏事務局長は、「人権問題の焦点は、従来の政治的、社会的平等の達成から経済
的な地位向上に移ってきています。これを踏まえ、日米の人権団体や行政、企業の関係者が21世紀における人権とまちづくりに
ついて経験を交流し、よりよい政策を作っていくために、今回の視察やフォーラムを実施しました。年末にはアメリカから日本
に代表を派遣し、日本でも交流の機会をつ予定です」と述べている。このプログラムやJPRNへの問い合わせは、電話510−891
−9045〔内線48〕の柏木さんまで。
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