「JPRNのインターンシップに参加されたのは、どのような理由からですか?」
社会人になった頃からNGO活動に興味をもち、JANICの活動に参加したり、アジア太平洋資料センター(PARC)の自由学校に通ったりしていました。NGOで働きたい、という気持ちが強くなってきたのですが、知識や経験が十分ありません。アメリカがNPOの先進国だといっても、ただ行けばいいというわけではないので、具体的な成果がえられる方法を考えていました。社会人になって数年、日本のNPOで働く力をつけるにはいまのうちに、という気持ちからJPRNのインターンシップに応募しました。
「インターンシップ先のNPOの事業内容を教えてください」
私がインターンをしているのは、Institute
Laboral de la Raza(以下、la Raza)という団体です。スペイン語の名称ということからもイメージできるように、中南米からの移民労働者に援助を行うため、活動しています。なお、直訳すると、人種労働研究所です。ただし、個々でいう人種とは、中南米系、つまりヒスパニック系の人々のことを意味します。具体的には、いわゆる相談業務が中心で、不払い賃金や労働災害などにあった人々の状況を聞き、経営者に対応を求めたり、法的なアドバイスを提供したり、法的な手段に訴えるなどの措置により、問題の解決に努力しています。
「インターンとして、どのような仕事をしているのでしょうか?」
インターンを始めたのは、la Razaが年中行事にしているファンドレイズのパーティを行う直前でした。このため、参加してくれそうな人々や団体に招待状を発送することが最初の仕事になりました。また、終了後にお礼状をだすのですが、クリスマス前という時期にあったデザインをコンピュータで作成し、封筒に印刷し、送付しました。作成したデザインを使ってもらえたので、多少なりとも「やった」という気持ちになりました。
「現在というか普段は、どのようなお手伝いをしているのですか?」
データベースの作成などです。la Razaでは、それぞれのスタッフが別々にデータをもっていて、団体としてひとつのまとまったデータベースがありませんでした。つまり、Aさん、Bさん、Cさんがもっているデータをもらい、Microsoft
Accessというデータベースのソフトを使って、ひとつのデータベースに作り上げました。新しいデータベースには、1500件ほどのデータが入っています。労働組合、弁護士、NPOなど、カテゴリーを設けているので、利用しやすくなったと思います。
「相談業務が中心の団体ですが、クライアントのデータはどうなっているのですか?」
クライアントがくると、住所などの連絡先、不払い賃金や労働災害などの本人が直面している問題、家族構成などをインテイクと呼ばれる書式に記載してもらいます。クライアントである労働者の多くは、中南米からの移民の方々ですから、スペイン語で書いています。私は、これを英語のデータベースにしていく作業もしています。データベース化することにより、どのような問題がどれだけあるかがわかり、助成金や補助金を申請するとき、裏付けとなる数字として利用することができるのです。
「スペイン語ができないと大変でしょうか?」
相談業務でいえば、クライアントがきて、インテイクに記入してもらいます。その後、スタッフがカウンセリングを行います。ここでは、スペイン語ができないと無理な場合がほとんどです。スタッフが解決できない問題は、弁護士に照会することになります。このように、スペイン語や労働問題の詳しい知識がないと、どうしても「裏方の仕事」をすることになります。その場合、スペイン語は、それほど必要ありません。わからないところはバイリンガルのスタッフに聞けますから。また、英語力がかなりあるインターンは、助成金や補助金の申請書を書くこともしています。私の場合、そこまで英語力がありませんから、それはできません。
「インターンシップをするうえで、どのような点に心がける必要があると思いますか?」
目的意識をもつことではないでしょうか。なにをえたいのかをはっきりさせて、インターンシップに望むことが大切だと思います。というのは、やることは際限なくありますし、なんでも、というのは無理だからです。また、上司を含めたスタッフに対しては、自分から積極的にアプローチすることが必要です。私の上司のように忙しいと、なかなか話す時間がありません。したがって、自分から相手を捕まえるというよう気持ちが求められます。反面、話しはじめると長いので、メモを残すといった形で意思疎通を図るように努力しています。
ホーム
|