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 JPRN出版物詳細

NPOマネジメント・マニュアル (2000年)    

JPRNより、はじめての体系的な「NPOマネジメント・マニュアル」が発行される。本書は、今年の春にオーク ランドで実施された、「第2回実践的NPOマネジメント米国研修」をもとに、柏木事務局長やインターンによっ て作成された。市民活動にながい歴史をもつアメリカのNPOマネジメントを紹介するとともに、日本でNPO経 営指導のトレーニング教材としても活用できる構成となっている。現在または将来において、NPOに関わる人 にとって、効率的なNPO運営にかならず役立つ一冊。

*同時発売の姉妹書NPO戦略計画ハンドブックも、ぜひご覧ください。


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目次の紹介

はじめに
第一章 NPO概論
第二章 NPOマネジメント概論
第三章 トレーニング・プログラムの指導法
第四章 ボランティア・マネジメント
第五章 理事会の役割と理事会の職員の関係
第六章 ファンドレイズ(資金調達)
第七章 会計と予算
第八章 プログラムの企画
第九章 戦略計画の策定


はじめに  

NPO法が成立、認証の受け付けが始まり、すでに1000を超える組織がNPO法人として認定されている。これ まで、議論の対象であったNPOは、実際の運営の対象に変化しているのだ。もともとNPOの法的整備を求める 背景には、社会的な課題を事業として取り組んでいく組織に法人格や税制優遇などの制度的な基盤が必要だと いう認識があった。しかし、NPO法が定めた法人格の付与などの制度は、NPOの運営にとって必要であって も、十分ではない。NPOの運営を適切に行うには、NPOのマネジメントへの理解が不可欠だということであ る。  

このような認識に基づき、私たち日本太平洋資料ネットワーク(JPRN)は、『実践的NPOマネジメント米国 研修プロジェクト』を実施している。今年で2回目を迎えたこのプロジェクトは、NPOマネジメントの基礎とな るボランティア・マネジメントやプログラム企画などへの理解を、セミナーやNPOへの視察を通 じてはぐくむ ことが目的だ。研修の成果は大きいと自負しているが、アメリカで1ヶ月間の研修に参加する時間を確保するこ とは容易でないだろう。

『実践的NPOマネジメント米国研修プロジェクト』の一部として、『非営利組織のマネジメント・マニュア ル』を作成した第一の理由は、研修の参加者以外の人々に、アメリカのNPOマネジメントを紹介することであ る。第二の目的は、NPOマネジメントの指導体制の一助を提供することだ。NPOセクターの発展には、運営方 法を指導するシステムがなければならない。各地に設立されているNPOの経営指導組織は、その役割が期待さ れている。しかし、指導に用いる教材の開発は、不十分なのが現状だ。このため、NPOの経営指導の教材とし て活用できるような構成にするよう心がけた。  

このマニュアル作成の基礎資料として用いたのは、今年3月に実施したマネジメント研修でのセミナーであ る。それぞれ約3時間に及ぶセミナーの内容は、JPRNのインターンらによってまとめられ、関連書籍や資料で 補足したうえ、柏木宏が監修した。したがって、内容の責任は、柏木が負っている。マニュアルの各章に盛り 込まれているセミナーを行った講師と所属または肩書き、ならびにまとめを担当した者の氏名は、以下の通 り である。

講師と所属、担当者
第一章 柏木宏 (JPRN)、若杉純子
第二章 柏木宏 (JPRN)、奥田美紀
第三章 Jude Kaye (CompassPoint)、 松原優香
第四章 Nancy Hughes (Consultant)、杉本有紀
第五章 Antoine Moore (Consultant)、柏木宏
第六章 Marian Breeze (Consultant)、奥田美紀
第七章 Jeanne Peters (CompassPoint)、杉本有紀
第八章 Cianna Stewart (Consultant)、ミシェル寺村
第九章 Antoine Moore (Consultant)、ミシェル寺村

『非営利組織のマネジメント・マニュアル』は、4つの部分から構成されている。第一章から第三章は、マ ニュアルのイントロ的な部分である。最初の二章は、NPOならびにNPOのマネジメント全般 を理解してもらう 目的で含めたものだ。第三章は、セミナーやワークショップなどの研修プログラムの作成方法について示し た。第二部にあたる第四章と第五章はNPOの人事管理について、第三部にあたる第六章と第七章は財務管理に ついて、最後の第八章と第九章は組織開発についてである。NPOのマネジメントには、この他に多くの分野が あるが、主要な部分はカバーされているといえよう。  

『実践的NPOマネジメント米国研修プロジェクト』を実施し、『非営利組織のマネジメント・マニュアル』 を作成するうえで、多くの組織や個人にお世話になった。まず、研修とマニュアルを含めて、助成金を提供し てくださった国際交流基金日米センターをあげさせていただきたい。次いで、プロジェクト全体の協力団体の NPOサポートセンターがある。同センターには、研修の参加者の募集や今年6月に予定される研修報告会の開催 にご協力いただいている。また、長野、茨城、浜松、秋田などのNPOのサポートセンターからも多大な協力を 受けた。

セミナーの講師の方々とセミナーのテープ起こしを行い、マニュアルの基礎資料としてまとめてくれたの は、前述のように私どものインターンである。これらのインターン、講師、ならびに講師のアレンジをしてく ださったCompassPoint(旧Support Center for Nonprofit Management)のキャシー・ブースさんに、心よ りお礼を申し上げたい。また、マニュアルの編集、レイアウトには、私どものインターンの若杉純子さんにお 手伝いいただいたことを付記しておく。  

このマニュアルが日本において、実践的なNPOのマネジメントの概念と内容を紹介するとともに、NPOのマ ネジメント能力の向上に貢献できれば、望外の喜びである。

2000年6月1日
カリフォルニア州オークランドにて
柏木宏

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第一章 NPO概論  

NPOのマネジメントに入るまでに、NPOの定義、構造、実態などを理解する必要がある。こ こでは、アメリカにおけるNPOのシステム全体の概略を理解してもらうために、まず、制度と してのNPOの両輪をなす法人格と税制優遇制度について説明した。そのうえで、NPOの一般 的 な構造や類型、さらに政治活動との関係を紹介していく。最後に、NPOの実態をみるために、 団体数や予算総額などを示した。

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第二章 NPOマネジメント概論  

NPOの運営方法は、多様である。この多様性は、なにに起因しているのか。また、多様な方 法が具体的にどのように組織全体や個々のプログラムに組み込まれているのだろうか。反対 に、NPOの運営において共通点はないのだろうか。これらの点は、マネジメントを考える上で の基本といえる。ここでは、人事や財務、組織開発など、NPOの運営を具体的に行うためのマ ネジメント手法を考える前提として、NPOの経営的特徴を大まかに紹介することをねらいとし ている。

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第三章 トレーニング・プログラムの指導法  

組織の経営に関する知識や経験が個人の内部に留まっていては、その概念や手法を普及させ ることはできない。NPOマネジメントでも、同じことがいえる。このため、NPOの経営に必要 なファンドレイズやプログラム開発について、ワークショップやセミナーなどのさまざまなト レーニング方法が開発されている。では、トレーニング・プログラムは、どのように企画、指 導したらよいのか。ここでは、トレーニング・プログラムの企画方法をステップ・バイ・ステ ップで示すことで、よりよいトレーニング方法を開発するための手助けをすることをねらいと している。その前段として、トレーニングという学習形態に関する特徴を説明しておく。ま た、トレーニング・プログラムを成功させるためのヒントを、講師・指導者と学習環境に関し て、それぞれ紹介する。

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第四章 ボランティア・マネジメント  

ボランティア活動は、自主的なものだ。したがって、マネジメントということばがふさわし くないと考える人も少なくない。しかし、ボランティアは、単なる人ではなく、組織に受け入 れられることによって活動の場を与えられ、ボランティアになるのである。ボランティアを受 け入れる組織は、ボランティアの希望と組織のニーズを適合させなければならない。このた め、さまざまな手法を考える必要性がでてくる。ここでは、まず、ボランティアの定義やボラ ンティア活動に参加する理由、NPOとボランティアの関係などをふまえておく。そのうえで、 後述するサービス・ボランティアをNPOが受け入れる際のトータル・プロセスを説明してい く。NPOがボランティア・プログラムを策定する際の参考になれば、幸いである。

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第五章 理事会の役割と理事会の職員の関係  

NPOの責任母体は、理事会である。理事会は、ボランティアの理事によって構成され、集団 として、意志決定を行う。しかし、ボランティアという関わり方もあり、NPOの管理や指導が 適切に行えなかったり、職員との間で軋轢を起こしたりすることも少なくない。このため、理 事会の存在理由、役割、職員との関係などについて、明確な理解を理事にもたせることが重要 である。ここでは、これらの点に加え、理事会が適切に機能しない理由と対応策、理事への動 機づけ、理事会と職員の間で生じる典型的な問題とその原因などについて、具体的に紹介して いく。なお、付録として、理事と職員の役割分担の概略をつけた。

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第六章 ファンドレイズ  

NPOの運営資金は、助成財団などからの援助の他に、地域社会からの寄付によって行われて いる。NPOの活動に不可欠な運営資金を効率よくえるためには、ファンドレイズ(資金調達) にも、マーケティングが必要である。ここでは、寄付に焦点をあて、ファンドレイズとはなに か、ファンドレイズの戦略、資金援助の種類、理事の寄付、寄付者を探す方法、寄付の依頼の 仕方、寄付増額の依頼、寄付者へのお礼状、寄付集めを成功させるための秘訣を紹介してい く。なお、付録として、ファンドレイズに関するボキャブラリーをつけた。

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第七章 会計と予算  

NPOは、事業を主体とする組織だ。したがって、場当たり的になにかを行うのではなく、事 業計画を立て、実施していかなければならない。事業を行うには、資金が必要になる。この資 金をどのように調達し、適切に管理するかは、組織のアカウンタビリティが大きく問われる部 分でもある。ここでは、NPOの収入形態の特性などをふまえたうえで、会計の方式や会計関係 の書式について説明していく。さらに、予算の立案方法について、プログラムとその他に分け て紹介する。会計や予算が単なる資金の流れの確認に留まらず、組織やプログラムをモニター するうえでも役立つことが理解されることを期待している。

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第八章 プログラムの企画  

NPOの活動は、プログラムを通じて実施される。したがって、プログラムの企画は、組織の 意義を対外的に示す内容を決定する重要な部分だ。ここでは、プログラムの定義、プログラム を企画することの意味と重要性などを検討した上で、実際のプログラムの企画プロセスを説明 していく。説明にあたっては、ポイントとなるプロセスを示した図も用いた。なお、プログラ ム企画について理解しやすいように、最初に一般論としての手法を提示し、その後、具体的な 例をあげてプログラムの企画方法をシュミレーションしたものを示した。

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第九章 戦略計画の策定  

NPOは、組織だ。組織は、生き物である。自らも変化するし、外的な環境も変わる。この変 化に順応できなければ、待ち構えているのは、死である。内外の変化に対応して、どう組織を 発展させていくか。この問いに対するキーワードが、戦略計画である。法人の認証受付が始ま ったばかりである日本のNPOの世界に、戦略計画は時期尚早と思われる人もいるかもしれな い。しかし、NPOをめぐる環境は、劇的に変化している。また、任意団体から法人に変わり、 運動体から事業体へ、あるいは素人の集団から専門家集団へと移行させたいと思っているNPO 関係者も少なくないだろう。内外の環境変化は、日本のNPOにも、戦略計画を求めているので ある。このような考えから、戦略計画の定義、メリット、プロセスなどをわかりやすく解説し ていく。

 

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